雨。









止まない雨はないから・・・。






雨の後にはきっと・・・・虹が出るから・・・。







もう・・・大丈夫だよ・・・?



















「カカシー。」

「・・ん?・・・・なぁに?」

窓の縁に手をかけ、外をボーッと眺めている
背後にいるカカシに話しかける・・・。

「雨の日ってたいくつだよねー・・・。」

「・・ん?・・・そうかなぁ・・・??」

カカシは愛読書から少しだけ顔を上げてを見た。


「・・そうだよ・・。」

「・・んー・・俺は読書好きだからなぁ・・。あんま気になんないけど・・?」

「・・読書なんて言っちゃって・・イチャパラ読んでるだけでしょー・・
  ・・・・このエロオヤジーーーー!!」

「なっ!!! エロオヤジじゃないよーっ!! これはだな・・人生に・・」
「ハイハイ! 言い訳無用ッ!!!」

「・・あははは・・。」

辺りにはカカシの苦笑が響き渡る・・・ 



が見つめている窓に・・雫が一筋・・二筋・・流れていく・・・




ザァーーーーーーーーー


ザァーーーーーーーーー


ザァーーーーーーーーーー


・・・・パラリ・・・・・





本のページをめくる音と・・たくさんの雨が降る音・・・・


ただ・・それだけが続く・・・・静かな時間・・・・・。





「・・・!!?」






ふと・・・が窓の枠に目をやれば、そこには無数の傷跡・・・。

・・クナイ・・か・・なにかかな・・・?

そう思いながらは後ろを振り返った・・・。


「ねぇ・・カカシ・・・あのさ・・・。」

「・・・・・・んー・・?」

やはり読書をしていたらしいカカシが
スッ・・とこちらを向いて笑った。

「・・ここんとこ・・傷がついてるよ・・・?」

「!?・・・・・あっ・・ああ・・・それ・・ね・・・。」


一瞬・・驚いたような顔をしたカカシは、本をパタン・・と閉じた。

・・なにか・・悪いことでも言ったのだろうか・・・?

そう思い、近づいて来るカカシに謝る・・・。

「あの・・訊いちゃいけなかったかな・・?
  ・・ごめん・・まさかそんな顔になるなんて思ってなくて・・・。」

しゅん・・として俯いたの頭に・・
カカシが苦笑しながら軽く手を置いた。

「大丈夫だよ。・・・謝る必要ないって・・・。
  ・・ただ・・少し・・・恥ずかしくてさ・・・。」

「・・えっ・・?」


カカシはから目をそらして窓の枠の傷に触れた・・。

・・一つ・・・息を吐いたあと・・静かに語り出す・・・・・。


「・・これはね・・・?俺が・・自分でつけたんだ・・・。」


「・・自分で・・・?」


「・・そ。・・・父さんも・・母さんもいなくなって・・・
   ・・・独りぼっちの俺が・・・。」

「・・カカシ・・・。」

悲しい笑みを浮かべながら・・そっと窓の枠をなでると
あの頃の記憶がよみがえってくる・・・。


・・・・独りぼっちだった自分・・・。

・・助けてって手を伸ばしても・・

・・・誰も助けてくれないことは・・分かってた・・。

・・それでもあの頃の俺にできるのは・・・





  ただ・・声を殺して泣くことだけ・・・。






「・・・俺は・・雨が嫌いだった・・・。
  ・・独りぼっちで聞く・・・雨の音が・・・
    ・・たまらなくイヤだった・・・・。」


「・・・カカシ・・・。」







空は・・いつも泣いているように見えた・・・。

雨音が・・・よけいに心を締め付ける・・・。

さみしくて・・・悲しくて・・・怒りまでこみ上げてきて・・・。

窓の枠に傷を刻んだ・・。

自分がさみしかった分だけ・・・悲しかった分だけ・・・・。



・・・・・苦しかった・・・・・分だけ・・・・。



「雨の日は・・・いつも・・嫌いだったから・・・。
    ・・さみしかったから・・傷を刻んだ・・・・・。」

「・・・。」

そこまで言って・・カカシはの方へ視線を向けた・・・。

「でもね・・・・いいんだ・・。」

「・・!?」

「・・・・もう・・・大丈夫だから・・・。」

「・・・・・・・カカシ・・・。」







が見たのは・・カカシの・・綺麗な笑顔・・・。






幸せそうな表情・・・。







・・・雨は・・・・


        ・・・・・・いつのまにか止んだ・・・。











「雨は・・・絶対上がるから・・・・。」




「・・・うん・・・そうだね・・・。」







も・・・つられて笑った・・・・。







「ねぇ・・・カカシ・・。」






「・・ん・・・?」






二人して窓の外を見れば・・たくさんの雨雲はもうなくて・・・。

代わりに・・七色の虹が・・かかっていた・・。


「・・・大好きだよ・・・?」

「・・・!!?」


彼が・・驚いてこっちを見るのが分かる・・・。

そんな反応がおもしろくて・・・・はクスクスと笑った・・。

「・・からかわれた・・かも・・・。」

ははは・・と苦笑するカカシに・・がそっと尋ねる・・。


「・・ね・・・雨もさ・・・いいものだよね・・・?」


の質問にカカシが笑顔で答える・・。

・・いつものように・・茶目っ気をたっぷりふくませて・・・・。

「そりゃあ・・ま! といるからねっvv 」

「・・ハイハイ。」

そんなカカシに素っ気ない返事をして・・背を向けて・・・

・・軽い足取りで歩き出す・・・。




「本気だよーー・・ー。」

今度は切ない声をたっぷりとふくませて言ってみる。

別に本気じゃなくてもいいけどー?って笑ったの後ろ姿に苦笑しながら・・・

カカシはそっと・・・つぶやいた・・・・。



「もう・・大丈夫だよ・・・。
  ・・・・・が・・・・いるから・・・。」









  さみしくないよ・・・・?












  






  悲しくないよ・・・・・?













  





  もう・・・きっと・・・・・大丈夫だよ・・・・・。

               





                            END











◎あとがき◎

ちょうど雨の時期なので・・書いてみましたvv

カカシはなんだかシリアスが書きやすいですなぁ・・。

今度もシリアスだったらどうしようね・・?カカシ・・?

まぁ・・そのときは・・・・

・・笑ってごまかせ!・・アハハハハ!!!!(オイコラ。)

サマ!ここまで読んでくれてありがとうございました☆

それでは!!!