※拍手においてあった景時×望美のSS集です。
 (シリアスから甘いのまでいろいろありますので苦手な傾向がある方は注意ですよ;)



  『 眩しすぎる日常 』 (甘々)





  「おかえりなさい!景時さん!」

 
  「…うん、ただいま。望美ちゃん。」


 


  瞳を閉じて…

 

  もう一度、開いてもそこにあるのは

 

  きらきら輝く君の笑顔。


 


  「聞いて下さい景時さんっ!
  今日の煮物は、なかなか上手くいったんですよ〜!」


  「ホント?うわぁ〜!それは楽しみだな〜!」


  「朔もよく出来たって言ってくれましたし、完璧ですよ!
  だから…ほら、早く着替えて来て下さい!」


  「御意〜ってね!」





  きらきら、





  きらきら輝いて。







  眩しすぎる…日常。




                               -fin-


  『 永久保存メール 』 (甘々)





  好きだとか、愛してるだとか。



  言うのは少し恥ずかしい言葉。



  だから、君にメールを送ろう。



  この想いを…活字にのせて。









  「…ええと…、これで…いいのかな…。」





  何回も何回も…

  読み返しては深呼吸。








  「……よし。」





  拳をぎゅっと握りしめ、

  震える指で送信ボタンを…。












  「………あーっ!だめだめ! やっぱり無理だよ…。」





  想いが溢れすぎて。



  君が愛しすぎて。



  いつも長文になる俺の恋文。



  もう何度目かになる最終確認を、もう一度だけしてみてから。




  …そっと携帯を閉じた。








  「……望美ちゃん…。」







  君が…好きだよ。





  心の底から、




  …愛してる。





  今日も君には届かない。



  永久保存なメール達は、



  小心者の不器用な愛。



                              -fin-



  『 緋色に染めて 』 (シリアス)






  どうかお願い。



  私を貴方と…。








  「…もう、嫌なんだ…!
  …これ以上、手を汚したくない…。」


  「……景時さん…っ…。」






  貴方は、その手が緋色に染まっていると言った。



  私を見つめる翡翠の瞳が目の前で切なく揺れて。



  鼻の奥が…ツン、と痛んだ。








  「……いいよ…、景時さん…。」





  「………え…?」








  どうか…私を。











  「一緒に、逃げよう?」









  どうか私を…緋色に染めて。


  私は、貴方と同じものになりたいの。





  その手でそっと…私に触れて下さい。







  貴方と共にならばきっと私は…


  どこまでも行けるから。





                           -fin-



  『 夢の中ではこんなにも 』 (シリアス)





  「…景時さん!」




  明るく弾むような声が、俺を呼ぶ。



  視界の中に君を捉えて微笑めば、


  彼女は俺にそれ以上の微笑みを向けてくれた。




  「景時さん、今日はね?朔と…白龍が……。」




  「……っ…!?」



  俺の目の前で、一生懸命に言葉を紡いでいる君が…





  ほろほろと…



  崩れ落ちていく…。





  「……景時……さ…」



  「……望美ちゃんっ!!」




  手を伸ばして。



  崩れ落ちるその身体を抱き留めようともがくけれど。






  「……ぁ…」





  いつも、その手の中に残るのは一枚の花びらだけで。



  だんだんと霞んでいく視界に、現実へと引き戻される。






  「………っ…!」


  勢いよく、身体を起こして掌を見つめ…



  もはや花びらさえ残らない、その手を強く、握り締めた。







  「……な…んで…」







  夢の中ではこんなにも。







  「……なんで…俺は…」







  こんなにも幸せなのに。







  「……望美…ちゃん…」



  そっと取り出し、握り締めた春の香が…


  まるで君みたいに、優しく鼻腔を擽って。





  「………俺…は…」










  じわりと瞼の裏に焼きつく、



  夢の中の君はひどく眩しくて。





  …涙が、頬を伝った。







                          -fin-



  『 幸せの音 』 (甘々)





  「…景時さ〜ん…」



  「し…っ!ダメだよ望美ちゃん。 静かにしてないと…」






  君の膝枕に寝転んで、



  ぴたり、と大きなお腹に頬を付ける。





  「…でも、あの……」


  「……あっ!ほら、今、ちょっと動いたね。
  ふふ…、元気だな〜!」





  とくん、



  とくん…と、



  温かく優しい命の鼓動が聞こえる。






  「………もう…景時さんってば…。」




  上からはそう、呆れたような声が振ってくるけれど…。





  「……俺が君の、父上だよ〜?
  早く君の可愛いお顔を俺に見せてほしいな。」





  その後、




  君がとても幸せそうに笑うのを知っているから。









  「……温かい…」




  瞳を閉じて…


  今日も、心地良い音とぬくもりに浸る。







  ほら、




  君の中から聞こえるね。





  優しくて、あったかい





  幸せの音。







                        -fin-





お題配布元:「恋したくなるお題」様
http://members2.jcom.home.ne.jp/seiku-hinata/