【可愛いよ】







「うーん…どっちがいいのかなぁ…?」


もう、今日何度目かになるその呟きと
軽いため息を吐き出し、はちらりと横にいる彼を一瞥した。



「値段は、こっちの方が断然安いんだけど…。」



せっかくこうして二人だけでの
買い物に来たからには少しでも良いものを。

少しでも彼の好みに近いものを…とそう考え
先程から何処の店にいっても同じ問いを投げかけているのだが。



「……景時さんは、どっちが良いと思いますか?」


返ってくる答えに、今日最後の期待をかけて
もう一度だけそう尋ねてみる。






「え?  ……うん、どっちも可愛いよ!」



「………。」




……また、その答えなんですね。



先程から何度も場所を変え、言葉を変え
繰り返されてきたその会話にとうとうはガックリとうなだれ、
手にあった二着の洋服を元の場所へと戻してしまった。





「はぁ〜…」


「え…っ?ちゃん??」



あからさまに大きなため息をつかれ、景時が慌てて声をかける。


「ど、どうしたの?オレ…何か可笑しなこと言っちゃったかな?」


「可笑しいも何も………景時さん、
ちゃんと真剣に考えてくれてます?」


「え……」



拗ねたように瞳を逸らし小さく頬を膨らませて、は呟く。


「だって、景時さんってばさっきからそればっかり。
どっちがいいですか?って訊いてるのに、
どっちも可愛いって…そんなの答えになってないじゃないですか。」


「あ、 あー…」


もっともなことを言われ頭をかいて曖昧に笑う景時に、
ますます膨らんでいくの頬。



「わ…私は…少しでも景時さんの好みに合った服を
と思って、さっきから一生懸命訊いてるのに…。
どっちも可愛いよとか、どっちも似合うよとか…そればっかり!」




ちゃん…」






「……何ですか?」




不機嫌そうに景時を見上げるに対し、
彼はにっこりと幸せそうに笑って彼女の頭を撫でた。






「可愛いよ」





「な…っ」




言葉と共にうっとりと甘さの滲む
微笑みを向けられて、の鼓動が高く跳ねる。





「な、何言ってるんですか!?そうやって誤魔化そうとしたって…」



「…本当に、そのままの意味なんだ。
どっちもちゃんに似合ってると思ったし、
どっちを着ててもちゃんは可愛いと思った。

だから、そう言っただけなんだよ…?」




「か、…景時さんっ!」




「…あれ?またオレ…何か可笑しなこと言っちゃったかな?」



あはは、と苦笑した景時はそれでも
大して悪びれる様子もなく彼女の手をとって歩き出す。



「ごめんね〜?ちゃん。
…そうだ!ちょうど小腹もすいてきたことだし、
そこの喫茶店で何かおごるからさ?
今日はそれで、許してくれないかな〜?」




「……っ…」



こんな公衆の面前でっ!!!



と、顔を真っ赤にして俯くは、
それでもやっぱり彼の手をぎゅっと強く握り返して、小さく答える。





「そ、それなら…もう、いいです…」






「…そっか、よかった。」






そんな姿も…可愛くて。





繋ぐ手のぬくもりが愛おしくて。






やっぱりどんな君も可愛いことには変わりないよ、と

口に出せばまた怒られてしまいそうなことをふと思って。









繋いだ手をゆらゆらと大きく揺らしながら、




景時は、心底幸せそうに 頬を綻ばせた…。







                                          -fin-
















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携帯作成のため、見づらかったら申し訳ないです・・;;

っというか・・なんだこの バ カ ッ プ ル !!!!;;(-A-;)

すみませんね・・皆様、砂を吐くなら砂漠かエチケット袋にてお願いいたします。(笑))

管理人は基本、ただの甘々バカップルを書くことができないので・・

本当はこのあとに雰囲気ブチ壊しな☆おまけ☆なるものがあったりなかったりするのですが・・・

さずがにそれはちょっと載せずに、自重しておきましたよ・・・ハハハハハ・・(乾いた笑い)


では・・皆様に少しでも楽しんでいただけることを願って・・・・。

・・失礼いたしました;;m(_ _)m