「・・うーん、旅の途中で
何か穢れにでもあたったのかな〜?」










    【ひなたぼっこ】







「・・・っ・・・。」




驚いて横を見上げれば、そのひとは、微かな
笑みを浮かべていて。






「・・じゃあ、敦盛さん。行きましょう?」

「・・あっ・・、ああ・・・。」




私は神子に手をとられながら、
本宮大社へ足を進めた・・・・。













―― 皆が各々に休息をとっている時間。




彼はきっと、縁側にいるに違いない。

ならば、あのことを・・彼に尋ねなくては・・。







「・・その・・・、少し・・いいだろうか・・・。」



「・・あれ・・? 敦盛くん・・・?」





どうしてなのだろう。




この人は、私が・・・。




「どうしたの・・?
今日はすごくいい天気なんだし、
敦盛くんも望美ちゃん達と一緒に散歩してくればいいのに。」




「・・・・ぁ・・。」






この人は陰陽師だ・・・。




そして、この人の目は節穴ではない。








「・・・・敦盛くん?」






「その・・。  ・・・・景時殿・・。」





「・・・・ん・・?」






・・・だから、きっと・・。







「・・・・・その・・、

景時殿は私の正体に・・・気付いているのでは・・?」



「・・・・・えっ・・。」





人ではない・・・



・・決して人にはなれない。


穢れに充ち満ちた存在。




その姿に・・彼は・・・。




「・・・そっ・・・

・・その・・っ、・・私・・・は・・・・。」






「・・・・うん・・。

・・わかってるよ・・・?」






「・・・ぁ・・。」




深く、優しく響く・・・




まるで笛の音色のような声で、




・・彼は囁き、微笑んだ。






「・・その・・っ、 では・・・どうして・・・・。」




「・・・ああ・・、  あのこと・・・かい?」



「・・・・・・。」





私がこくん、と頷くと

彼は少し困ったように微笑んだ。



「・・・うーん・・、
どうしてって訊かれてもなぁ・・・。」


「・・・・・・。」





私は穢れているから、

本来・・皆に近付いてはいけない存在で。




けれど目の前のこのひとは・・・


私の正体を知っていながら、

皆にあんなことを言ったのだ。


源氏で、陰陽師で、

決して親密な仲であったわけではないのに。



このひとは・・見て見ぬふりをして、



こんな私のために・・

・・さりげなくその場を取り繕ってくれたのだ・・。










「・・だって・・・さ・・・?
敦盛くんはすごく優しいじゃない・・・。」





「・・・・えっ・・。」





「だから別に、正体がなんであろうと
警戒なんかする必要ないし・・

やっぱり俺も・・・みんなで本宮まで行きたかったしさ〜!」




「・・・みんな・・で・・、

・・けれど・・・私は・・。」





私は・・・・・人ではない。





彼とは・・、






・・・皆とは違う。








「・・そ、みんなで!

・・だから、敦盛くん一人だけで残すなんて
出来るわけないじゃない?」





「・・私は・・・・。」





・・私は・・・



・・皆とは違うのに・・・・。







「そのために俺の知識が役に立つんだったらさ?
俺はいくらでも頑張っちゃうよ〜!」




「・・景時殿・・・。」




「・・ね?

だから、敦盛くん!また何か
困ったことがあったなら遠慮なく言ってね?
俺、こうみえても陰陽師だし!
少しは役に立てると思うんだ〜!」








・・ああ、なんて。









なんて・・・眩しいのだろう。








このひとの笑顔は、



どうしてこんなにも・・・。







「・・・景時殿・・、

・・ありがとうございます。」




「・・えっ?そんな!
お礼なんかいいってば〜!

・・それより、敦盛くん。
もし何も予定がないんならさ〜!

俺と一緒にひなたぼっこでも・・・・どう?」




「・・ひなたぼっこ・・・」








・・・あたたかい・・。









「・・ええっと・・。

お日様は・・・嫌いかい?」


「・・・いえ・・。」





「・・・・そっか・・。」







正体など、気にしない・・と。


このひとはそう言って、にこにこ笑う。



確かな存在ではないこの私に・・


ひなたぼっこをしよう、と声をかける。







・・・私は、ここにいてもいいのだろうか・・?





皆と同じ・・・八葉・・、





・・仲間・・で・・いても・・・・。









「・・・・・・その・・、

・・隣に座っても・・・・良いだろうか・・。」







きっと・・・・




きっと、このひとは・・・。







「・・・・うん・・!」




・・・こうしていつも私に

笑いかけてくれるのだろう・・。







「ふんふふ〜ん♪・・嬉しいな〜!
今日は敦盛くんと2人でひなたぼっこだね!」



「・・・・ああ・・。」









「・・うーん!風が気持ち良いね〜!」



「・・・そうだな・・・・。

とても・・、

 
  心地良いと・・思う・・・。」







ふんわり・・・




・・・ぽかぽか、あたたかい。





こんな気持ちになれるなら、



ひなたぼっこもするものだ。








「・・・・・明日も・・
・・あたたかくなるだろうか・・・。」



「・・・きっと、なるんじゃないかな〜!」







「・・・・・そうか・・。」





「・・・うん・・!」






・・・明日も・・

晴れれば、いいと思う。




あたたかな光は・・とても心地が良いから。






明日、晴れたらまた彼を誘って・・・




彼のこと、私のこと、

もっとたくさん話してみようか。




それから・・・

この場所は心地良いと、


皆に教えてあげようか。







彼の笑顔に近付くために、






今度は・・・私も。


      





                                       〜 fin 〜












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・・はい;; なんとも珍しい景時&敦盛な小説でした;(苦笑)

携帯でポチポチ作っていた小説を今回ここにアップしてみたのですが・・・

やっぱり少し見にくいですね;; これでも手直しはしたのですが・・;;

いっいろいろとすみません; 

こんな小説ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです・・はい;;(^_^;)

そっそれではっ!;;(逃走!/ぁ;)