【早起きは三文の得という・・】










「おはよーございまーす。・・まだ寝てますか?景時さーん・・。」



はこの部屋の主を起こさないよう、小声で問いかけた。

部屋からは何の返事もない。

・・まだ寝ているのだろうか・・?



「まだ・・寝てるのかな・・?・・うーん・・。
  もうすぐ朝ご飯なのになー。」



譲が朝ご飯を作っているのを見て、手伝うことにした

どうしてそうなったのか・・みんなを起こす。

という役割を、任されてしまったのである。

まずはこの邸の持ち主である景時を起こそうと部屋にやってきただったが・・・。



「うーん・・部屋に入っていって起こした方がいいかなぁ・・?
  ・・・・でっ・・でもっ・・勝手に入っちゃ失礼だよね??」



景時が起きているのか寝ているのかも分からない・・・。

もしも、寝ていたならばそろそろ起こさなければいけないのだが・・。

勝手に入っては失礼だろう。という思いがを止める・・。



「・・えーっと・・こういう時は・・どうしたら・・。」



頭をかかえ込む・・・・


っと・・その時、誰かが後ろから肩を軽くたたいた。







「・・ちゃん・・?・・どうしたの?」

「!!?」



驚いて振り返ったその先には、今まで見たことのない雰囲気の男が立っていた。

・・青みがかった緑色の髪から水が滴り落ち、前髪が濡れて

ペタッと顔にはり付いている・・・。





「・・だっ・・誰・・ですか・・?」



目をパチクリさせるを一瞬、驚いたように見たその男は

すぐに大きな声をたてて笑い出した。



「あはっ・・あはははははっ!!!
  ・・あーーーっ・・おかしい!!!」

「・・・・えっ!? えぇっ!!? あのっ・・まさかその声っ・・。」



その見知らぬ男の声は、よくよく聞くとのよく知っている男の声そのもので・・・。



「やっだなぁー♪ ちゃんたら! 
  ひょっとして・・まだ寝ぼけてたりするのー?」

「・・・かっ・・・景時さんだったんですかっ!!?」



雰囲気がいつもと全く違っているものの・・

声や笑顔はまさしく彼・・梶原 景時だった。



「えっ!? なに? ちゃん。
  まさか・・本気でオレだって分からなかったの??」



驚いた様子でそう尋ねられ、は勢いよく頷いた。


「ほっ・・本当ですよ! 私・・本当に誰だか分からなくて・・。」

「・・うそっ!? 本気だったの!?・・なんでまた!!?
  俺たち毎日くらい会ってるよね?? 」


それともオレって・・ちゃんにとってはすぐ、忘れられる存在!?

焦りながらそう続けた景時はガバッと頭に手をかぶせて・・・・

・・・そして、あることに気が付いた・・。



「・・ん・・?
  ・・あっ・・・あーっ・・そっかぁ!・・そうだよねぇ・・。」



「・・えっ?」



一人で納得した景時はふうっ・・と安心したようにため息をついた。

先ほどから焦ったり・・落ち着いたり・・納得したり・・・な

景時のテンションに取り残されていたは、まったく状況が理解できず

不思議そうに うんうん!そうだよね!!っと頷く景時の顔を見つめていた・・。



「ほら! オレ・・起きたばかりでさ! 
  まだ髪を上げてないからじゃない? 」

「・・・・あっ・・そうなのかも・・!! 」



いつもは無造作にかき上げられている髪が、今は水で濡れて垂れ下がっているため

雰囲気が違って見えてしまったのだろう・・。

景時の言葉にそう、ようやく理解したは改めていつもと違う景時を見る。



取り出してきた布で彼が濡れた髪を拭くと、

拭いきれなかった雫がスーッと首筋を伝って落ち・・。

あまった片手で書物を見る景時の瞳はとても真剣で・・・・

・・・思わず魅入ってしまう自分が恥ずかしくなり、

は焦って彼に声をかけた。



「あっ・・あの・・景時さん!!」

「・・・・ん・・何・・?」


書物に落としていた視線をスッ・・とへと向けて・・

景時が尋ねれば、真っ赤な顔をしたが慌てながら答えた。



「あっ・・そのっ・・////
  ・・おはようございますっ!!! 」


「・・・えっ・・と・・おはよう・・。
  ・・どうしたの・・? 急に・・・。」


かける言葉を考えず、ごまかすように声をかけてしまったため

には当然・・話題などなく・・素直に挨拶だけが出てきてしまった。

そんなを不思議そうに見た景時は目の前で固まっているに気づくと、

とたん・・クスクスと笑い出した。



「・・ははっ・・ホント・・どうしたの・・・?
  なんか今日、ちゃん・・変だよ・・?? 」

「えっ!? そっそうですか!?・・そんなことないですよ!! 」



いつもと違う・・彼に見とれていたなんて・・絶対に言えない!!

そう思いながら・・さらに顔を赤くしてが答えると

また、景時がクスクスと笑った。



「・・なっっ!!!
  景時さん!! さっきから笑いすぎですって!!! 」


笑う景時のヒザをバシバシとたたきながら赤面する

苦笑しながら・・景時は振り下ろされる手を止めた。



「ごっ・・ごめんごめん! 君のこと・・笑ったわけじゃないよー? 」


「・・・・なら・・なんだっていうんですかぁっ! 」



ぷうっ・・と頬をふくらませるに、またもこみ上げてくる笑いをこらえながら

景時は頭をガシガシとかいた・・。





「・・いや〜。 いいなぁーっと思って・・・。」

「・・えっ・・? 」


「だからさぁ・・そのっ・・おはようって言われるのって・・いいよね・・?」



照れ笑いを浮かべて・・本当に嬉しそうな景時が

小さな子どもに思えて・・今度はがクスクスと笑った。



「・・えっ!? なに!? ちゃんっ!!?」


「・・ふふっ・・そうですね・・!」



焦る景時を目の前に、なおも楽しそうに笑う

・・そんな彼女は・・今まで見たことがないくらい輝いていて・・・


・・・気が付くと・・・見とれている自分がいた・・・。




「・・っげときさん・・?・・景時さん??」

「・・えっ!!?・・うん。ごめん・・
   ・・って!!うわぁっっ!!!!」


自分を呼ぶの声にハッと我にかえった景時は

吐息がかかるほど近くにあるの顔に驚いて声をあげた。

「・・あのね? 景時さん!」

「・・なっ・・何かな・・? ちゃん・・・。」

にこーっと笑った彼女はパッと立ち上がって後ろを向いた。





  「私が・・おはようって・・毎日言ってもいいですか?」






「・・・・えっ・・それって・・どういう・・??」


景時がそう、聞き返すのを遮って・・パンッと手をたたくと、は明るい声色で言った。



「あーーっ! もうすぐ朝ご飯でした!! 他のみんなも起こさなきゃ! 
   ・・景時さんも、早く用意して来てくださいねー!!」

「・・あっ・・待って!!・・ちゃん!!!」



駆け出していくに後ろから声をかけると、彼女がくるっと一度だけ振り返った。


・・少し照れたような微笑み・・・

それはとても綺麗で・・・時が止まったように・・動けなくなった・・・。





「・・景時さん!! その髪型・・似合っていますね!
  ・・すごく・・・カッコイイですよっ!!!//// 」




・・・早起きは三文の得でした!!・・じゃあっ!!っと悪戯っぽく笑い・・

今度こそ走り去るを目で追って・・・

・・・景時は真っ赤になっているであろう己の顔に手を置いた・・。



「・・あははっ・・オレ・・物事は言い方向にしか・・考えられない男だよ?////」






     『私が・・おはようって・・毎日言ってもいいですか?』





頭の中で繰り返される・・彼女の言葉・・・。

・・また、顔が熱くなるのを感じて・・景時は本日二回目の

・・顔洗いをするため、お風呂場へ向かった・・・・。



「・・早起きは・・三文の得・・かぁ・・。
   ・・・・ねぇ・・ちゃん・・。・・軍奉行! 梶原 景時!!
              ・・・期待しちゃっても・・いいんだよね? 」



手にした布で・・ぐいっと顔を拭って呟いた景時は、

一人・・幸せそうな笑顔を浮かべた・・・。


                         END



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*あとがき*


あわわわ;; とうとう書いてしまいましたよ;;

景時さんのドリーム・・・;;;

・・すみません・・愛故に・・なんですよ・・。(オイ;;

えっ?・・こんなの書くならカカシドリーム書け!・・ですか・・?

・・うぅ・・(涙)・・すみません!!(土下座。)

アイディアが・・なかなかね・・?(泣)


あっはは・・・。(乾いた笑い;;)

それでは!!!(逃走!!=3/オイコラマテ。)