------「任務、おつかれさまです。」


------「うん。ありがと。」


--------私が一番楽しみにしている一瞬・・・

---------それは・・大好きな人と言葉を交わす・・

----------ほんのちょっとの・・時間なの・・。






      
『変わる言葉。』






「おつかれー。」

「・・おう!おつかれ。明日も来るだろ?」

「あーあ・・そんなこと帰りがけに言うなよなー。
 今から帰れるって言うのにさぁー。」

「ハイハイごめんよー。」




何度繰り返されたか分からないほどの言葉を聞きながら・・

手元に残った書類に目を通して・・

お先に!っといって出ていく同僚の後ろ姿を眺めた・・。

出ていった男に手を振っていた、もう一人の同僚は疲れたのかため息をつきながら

自分の席まで重い足取りで歩いてきた。



「なぁ・・・・あと何班残ってるー?」



ぐったりとした表情で私に尋ねるその同僚に苦笑しながら

私は、書類に目を通すふり・・をした・・。




「・・えっと・・七班がまだみたい。」




・・書類なんて・・見なくても分かる・・・。

・・あと・・一班残っていることなんて・・分かっているの・・。



「・・ええーー・・。」



大きなため息をつく同僚の男には優しく声をかけた。




「残りは・・私がやっておくから・・帰っていいよ?」



・・・第七班の・・報告書は・・いつも彼が持ってくるから・・。



「あっ!そう?悪いなぁ!!」



悪いといっているものの・・笑顔の男に呆れるような視線を向ける



「じゃあな! また明日〜!!」

「はーい。」



軽く頭を下げて受付所を出ていく男に手を振りながら・・

は机に頬杖をついた・・。








・・あたりはしーんと静まりかえって・・・。

・・朝が早い私は・・いつのまにか眠りかけてしまった・・。









・・コツ・・コツ・・コツ・・・










廊下に・・足音が響く・・・。



起きなければいけないことは分かっていたけれど・・今の自分はそんなことよりも・・

・・・ずっと・・眠いという気持ちの方が強くて・・。
















「・・君・・大丈夫?・・ねぇ・・おーい??」

「・・・う・・ん・・あ・・も・・ちょ・・っと・・。」

「・・おーい・・聞いてる・・?・・起きてー。」



・・心地よく・・響く低めの声・・・。







「う・・ん・・・・んっっ!!?」




誰かに肩を揺すられている・・・!!?

そう気づいて顔を上げれば、そこにはずっと待っていた男の姿・・。






「えーと・・気持ちよさそうに寝てるの起こしちゃって悪いんだけどさぁ・・
 ・・報告書・・ハンコ押してくれないかなぁ・・??」





・・第七班の担当上忍・・はたけカカシ先生!!!







「・・ええっ!!?・・あっ・・すみません!!!
     はい!! すすすっすぐに確認しますね!!!」






急に声をかけられたからだけじゃない・・

私は・・この人だから・・焦ってしまうのだ・・。





「君は偉いねー。・・ナルト達と・・そんなに変わらないでしょ? 」


「・・えっ・・あのっ・・はい・・14です・・。」




まともに目も合わせることが出来なくて・・下を向いて答える・・。

それでも、きっとあの人は・・書類に目がいっている・・と思うだろう・・。


・・そんなことを考えながら目の前の紙にハンコを押す。




「へぇ・・やっぱりねー。
  ・・受付の仕事・・大変でしょ?? 」

「・・えっ・・? 」



普通に考えれば・・この仕事は大変だと思う・・。

でも・・アナタは・・知ってるかな・・・?

・・私にとっては・・唯一アナタといられる時間なんだって・・。






「いいえ・・。 私は・・この仕事・・大好きですよ・・vv 」






・・・大切な・・・時間・・・。

・・一日のうちで・・一番・・・大好きな時間なの・・・。



「あっ・・そうなの?・・ふー・・ん・・。」



少し驚いた様子で・・カカシは頭に手を回すとじーっとを見つめる・・。



そんなカカシの行動にも気づかず・・出来上がった書類をしっかりそろえて・・

は笑顔でそれを差し出した。


「はい。終わりましたよ! どうぞ。」


「あっ・・うん・・ありがとね。」


カカシがスッ・・と手を伸ばして・・笑顔で書類を受け取る・・。

そんなカカシの行動に・・胸が熱くなる・・。



・・・細くて長い・・・綺麗な手・・・。



・・ひょっとしたら・・自分よりも綺麗なのでは・・・?

そんなことを考えて・・は何とも言えない表情で・・己の手を見つめた。









「名前・・なんていうの・・? 」


「・・・えっ・・・。」



じっと・・自分の手を見つめていると・・上から優しい声が降ってきた・・。

一瞬・・何を訊かれたのか分からなくて・・・

・・バッと顔を上げる・・・。







「・・名前・・なんていうのかな・・? 」


・・温かな・・優しい声色・・・

・・毎回・・聴くたびとろけてしまいそうになる・・。


「えっ・・ええっと・・私は・・っていいます!!」



・・あせって・・変な声をしていなかっただろうか・・。

・・そんなことばかりが・・この一瞬の間に何度も何度も頭の中を駆けめぐった。






「・・・・・ちゃん・・。ふーん。いい名前だねvv
  あっ・・俺のことは・・カカシって呼んでくれればいいから。」



さらりと言うカカシには焦りながら答えた。


「えっ・・いやっ・・あのっ・・でも・・・
         ・・呼び捨てだなんて・・・。」


「いーの。 俺がいいっていってるんだから。
 そんなコト・・気にしないでよvv 」


「あっ・・はっはいっ・・////」


・・少しの沈黙・・・・・。

・・辺りにはが帰り支度をする音だけが響いている・・。


「・・・。」

静かな空間の中で・・無言で立っているカカシ・・・。



書類は受け取って・・もう何も用はないハズなのに・・・。

は不思議そうな瞳でカカシを見た・・。





「・・あっ・・あのー・・帰らないんですか?」

「・・ん・・?」



・・にこっとに笑顔を向けて・・カカシは上を見上げた・・。



「・・帰らなーいよ?」

「・・??」


ワケがわからない・・というような顔で・・カカシを見つめると、

カカシはのほおにそっと手を伸ばした・・。




「・・俺・・待ってるから・・・。」


「えっ・・・あのっ・・・////」



待っている。とは・・なんなのか・・・。

・・そして、今自分のほおに置かれている手は本物なのだろうか・・?

体温が急上昇するのを感じて、はその場から動けずにいた・・。










「・・あ・・の・・待ってるって・・・?」


ようやく、声を振り絞って尋ねれば・・・

・・カカシはほおに置いた手はそのままに・・じーっとを見つめてきた。




「・・いつものやつ・・今日は・・言ってくれないのかな・・?」


「・・・いつもの・・・?」



いつもの。と言われてには思い当たるふしがなかった・・。




「ほら。・・俺に・・報告書・・渡してくれた後にさ・・。」


「・・あっ・・・。」



・・一つだけ・・あったかもしれない・・・。

・・いつも・・言っている・・言葉・・・。






「・・・今日は・・言ってくれないの・・・?」



さみしそうに・・笑って・・カカシはのほおに添えた手を戻した。







「・・・なんでですか・・・?」


「・・ん? 」






・・たしかに・・毎回言っていた・・言葉・・・。

でもまさか・・この人がそれを覚えていたくれたなんて・・・。




「・・そんなこと・・覚えていてくれたんですね・・・。」






・・・嬉しくて・・涙が出そうだった・・・。






「・・・ん・・そりゃあ・・ね・・。 」


少しだけ・・目をそらして・・ほおをかくカカシ・・・。















「・・・俺・・ちゃんに・・それ言われるためにさ・・
 ・・・来てるようなもん・・だし・・? 」




「・・・!!? 」





・・・私の・・・・ため・・・?





「毎日・・ちゃんが・・任務おつかれさまです。って言ってくれるでしょ?
  ・・・だからさ・・なんだか俺・・それが楽しみで・・毎日過ごしてるんだよね。」




「・・・カカシ・・・さん・・。」






・・信じられなかった・・・・。

憧れで・・絶対に・・想いは届かないと・・思っていたのに・・。


そんな彼が・・・私のためだけに・・ここに来ているなんて・・・。










「・・でも・・もういいや。 これからは・・違うこと言ってくれればいいからvv」


「・・えっ・・?」



何かをたくらんでいる子供のような・・そんな笑顔を浮かべながら・・

・・カカシはの前にそっと手を差し出した・・。


「これからは・・・おかえりって・・言ってくれればいい・・vv」


「・・・えっ・・あのっ・・それって・・・。」


慌てて意味を訊こうとする間もなく・・・引き寄せられて・・。

・・・気づけば・・温かなカカシの腕の中にいた・・・。



「・・ねっ・・俺・・帰ってきたけど?」






伝わってくる・・・カカシの・・早まった鼓動・・・。


・・それは・・自分と同じで・・はクスクスと笑って答えた。











「・・・・おかえりなさい・・・カカシ・・・。」


















------「任務、おつかれさまです。」


------「うん。ありがと。」

















                                               ------「おかえりなさい。」


                                                -------「うん! ただいまvv」











                             アナタのおかげで・・変わる・・言葉・・・。



                            今までよりも・・ずっと長い・・幸せな・・時間・・・。












                                                                             END
















*************



★あとがき★

いや・・なんでしょうコレ・・;;

自分の文章力のなさに涙出てきます・・(涙)

カカシ先生の優しさが出ていればよいのですが・・;;

温かい文になるコトを目指していつも書いているので・・。

こんな文ですけど・・皆様・・

・・呆れずにつき合ってやって下さいね。(涙)

それでは。

あとがき終わります;;