「…なんだかはっきりしない人ですね、君は。 しかも、何を今更‥」
「いっ、今更って‥」
「こうして僕に触れられているというのに……。
抵抗しないんですから、当たり前と言えば当たり前でしょう？」
「……っ‥！」
もっともな事を言われ、思わず赤面し、慌てて彼の体を押し返す。
「これは‥っ、弁慶が…！」
「…今更、待ったは無しですよ？
言いましたよね？……僕は君に欲情しているんです。」
「ちょっ………ぅぁ…っ！」
耳元で甘く囁かれ、間髪入れず首筋に吸い付かれて、ビクリ、と身体が跳ね上がる。
「弁慶…ッ!! ちょっと‥ホント‥に…駄目だってぇ…っ‥」
「何が…駄目なんです？」
必死の抵抗もむなしく曝け出された胸に唇を寄せられる。
そのままザラザラとした舌の表面で突起を舐ぶられると、
快感が背筋を震わせ下肢を熱くさせた。
「あ……っ」
咄嗟につく甘い声に、片手で口を覆い隠す。
…が、既にその手は彼に掴まれていて。
「なんで声を殺すんですか…？ もっと…聞かせて下さい‥」
クスリ、と艶笑を浮かべて、吐息で囁かれ。
指の一本ずつを唇に含みゆっくりと時間をかけて丁寧に舐められる。
過敏になる身体に、舌のざらついた感覚は
ゾクリとするほどの快感となって身体中にじわじわと広がっていく。
「‥弁‥慶……」
少し掠れたその声に、視線を合わせた彼の瞳が妖しく光る。
唾液に濡れた舌で手首の傷を丹念に舐められ、その刺激にさえ感じてしまう自分が恨めしい。
「…結構、深いですね。 とりあえず応急処置だけは
しておきましたが‥後で薬草を持ってきましょう…」
「おっ、応急‥処置って……っ！」
「君は本当に薬師泣かせですよ‥。
痛いなら痛いと、せめて僕にくらいは、はっきり言ったらどうなんですか‥？」
「ぅ、うん‥ごめ、……っぁ！」
お仕置きとばかりに胸の突起を摘まれて、身体が跳ねる。
「や‥だ、弁け‥ッ、そんな風に、触ったら…」
「…ふふ、女性でもないのに‥もうここが反応してきていますね？」
くりくりとこね回され、完全に主張してしまったそこをさらに弄られて思わず声を上げる。
「……っ‥！ 意地‥悪いよ‥っ！」
「…褒め言葉だと、受け取っておきますよ。」
笑顔でそう言ってのける彼に、やっぱり食えない人間だ、などと思ったのは一瞬のこと。
「……ん、…ぁっ‥！」
するり、と腰帯を解かれ袴の上から主張したそこを撫で付けられる。
そのまま形を確かめるように触れられて、下肢がビクビクと熱く脈打った。
「…憎まれ口をたたく割には、随分と感じているんですね。」
「‥っ、違ッ！ん―――っ！」
反論をしようとしたその唇を深い口付けで塞がれて、
薄い布の上から昂りの先端を、ぐりぐりと親指で強く擦られて。
思わず、声にならない声を上げる。
「…は‥っ、うるさい口は塞いでおくのが賢明、というものでしょう？」
「…っ、そっちが‥君の本性、なんだろう…っ？」
「…ふふ、さあ？でも……君に言われたくはありませんけどね‥？」
「っぁ、あ、あ‥っ！」
笑顔で紡がれた言葉の後、今まで緩く撫で付けていただけの手が
急にそれを激しく扱きだし、背筋をかける強い快感に甘い声が漏れる。
「誰にでも優しく、朗らかで……強い。 源氏の軍奉行殿は何処へいったんですか？」
「…ぁ、……い‥っ、や‥だ…ッ！」
「ふふ、僕の本性がこちらだと知って‥君は僕を嫌いにでもなる…と？」
わかっている。
彼がこんな人間だということは、もうとっくに。
それでもオレは…
いや、きっとそんな彼だからこそ…
そして、彼もそんなオレの気持ちを知っていながら…わざとそう訊いてくるのだろう。
「…っ、ほん‥と、嫌な…感じ‥っ！」
「でも‥好き、なんでしょう‥？」
「……っ‥！」
‥ほら、やっぱりそうだ。
その溢れんばかりの笑顔にひどく悔しくなって、オレは瞳を逸らしながら短く言い捨てる。
「……どうかな‥っ。」
「……ふふ、おや？いつもの優しい君とは大違いですね？
悲しいな…。僕には望美さん達のように優しくしてはくれないのですか？」
「……君の‥日頃の行いのせい、だとは考えない‥のかい？」
「…言ってくれますね。まぁ、素直じゃない君もそれはそれでそそりますが…」
「‥っ、何、言って…っぁ、…あぁっ！！」
瞬間、ぎゅっと猛った自身を握り込まれ声が裏返る。
クスリ、と妖しく笑った彼に反論も出来ないまま、
溢れ出した蜜で湿ったそこを丹念に扱かれて頭が真っ白になった。
「っあ…も‥だめ…弁‥けッ、離し……」
「……ふふ、淫乱‥ですね‥」
「…ぃ、ぁ――っ！」
制止の言葉さえろくに聞かず、手を激しく動かされ、
不意に耳元へ吐息と共に囁かれたその言葉に、
ビクリ、と身体をしならせ昂ぶった熱い欲望を破裂させてしまう。
「……っ、‥は‥っ」
達した余韻に未だ身体を震わせていると、
息を整える間もなく彼が濡れた袴をずるり、と引きずり下ろす。
続けて腰を少し浮かされ木に身体を預けるような体制にされて。
達したばかりのそれが彼の目の前に曝されるのを
目の端で捉えあまりの羞恥に顔が熱くなった。
「……べっ、弁慶‥ッ！や‥だ…っ！！」
「ふふ…こちらも‥物欲しそうですね…」
「ちょ‥そっ、そこは…っぁ‥ん！」
双丘の中心を生暖かな舌で突かれてひとりでに腰が揺れる。
淫靡な水音をたてて、それは動かされ
次第に濡れ始めたそこに、彼は、満足そうな笑みを浮かべ。
「…気持ち良さそうですね。こっちも舐めてあげますよ…」
「ぁっ、…や！う、‥あ…っ」
またも立ち上がりかけた自身を、ゆっくりとした動作で唇に含まれ、
あまりの快感に足の指が突っ張ったように反り返る。
裏筋や先端を熱い舌で舐ぶられると、その度に信じられない程の甘い声があがって。
既に濡らされた入口は、まだ直接触れられてもいないというのにヒクヒクと物欲しそうに震えていた。
「…おや、もうこんなにして‥。
僕に舐められて感じたんですか…？厭らしい身体ですね。」
言葉と共に蜜で濡れた彼の指が数度、緩くそこに行き来し、
次にはゆっくりと内側を圧し広げるようにして奥の方にまで入り込んでくる。
「‥っ、あ―っ‥」
ゾクリとするその圧迫感に息を飲み、身を捻るが、
何とも言えないその違和感は当たり前のように逃げてはくれなくて。
一本、また一本と増やされるその指が内壁を擦り上げる度
、じわじわと内側から己の身体を支配していく蕩けるようなその感覚。
前で蜜を厭らしく垂れ流す肉棒にも同時に優しく触れられれば、
内側に感じていた違和感も快感へと変わり果て、思わず目尻に生理的な涙が滲む。
「ああ‥っ！‥は…ぁっ、弁け…ぇ‥ぇっ！」
「…君に、そんな声を出されると……堪らなく興奮します…」
ゾクゾクする程に艶めく掠れた声で囁かれ、
耳たぶをそっと甘噛みされて、コツ…と猛った雄を入口に当てられる。
緩く、そこで蜜を絡ませるようにして擦られるだけで、最奥は彼を欲して熱く疼いた。
「あ、あ‥っ…」
「ふふ、もうコレが欲しいんですか‥？
ほら見てください…腰が揺れていますよ？」
「……だ‥だめ、…お願…っ、も…焦らさ、ないで‥っ！」
ゆるゆると入口で行き来するだけのそれに、もう、おかしくなってしまいそうだった。
「…ほら、僕が欲しいとその口で‥言ったらどうですか？」
「…ぅう‥ぁ‥っ！あ‥、も‥欲し…っ」
顎をぐっと掴まれ、喉元まで伝う唾液を舌で拭われて問われると、悔しさと恥ずかしさに押し潰されそうになる。
「…それじゃあ、肝心なことがわかりませんね。
‥何が、ですか？軍奉行殿……」
「…んっ！も‥っ‥、ゆっ、ゆるし…っぁ！」
「ふふふ‥その艶やかな姿を、今、陣にいる君の部下にでも見られたら…どうしましょうね…？」
「……――っ！」
揶揄うようなその言葉にぐっ、と彼を睨みつけても、
まるで効果はなく、可愛いですね、と妖艶な笑みを浮かべられ。
しかし、一方で囁かれたその声が熱く、荒くなっているのを感じ、
彼も感じているのだということを理解する。
「………っ‥は‥」
それなら、と心を決めて熱に濡れた瞳で、じっと彼を見上げた。
「弁慶が、欲し‥いよ…だから…オレに……早く、ちょうだい？」
「‥‥――っ！」
ぐっ、と彼の顔を引き寄せ、自らその柔らかな唇に軽く口付けて。
最後には耳元へ吐息でそう囁くと、彼が息を飲む音がする。
その振動が嬉しくて、うっすら恍惚の表情を浮かべていると…
「…合格です‥っ」
あまり余裕のない声色でそれだけ囁かれて、彼がぐ‥っと押し入ってくる。
指とは比べものにならないその圧迫感に
僅か眉を寄せていると、深く口付けられて熱く舌を絡め取られた。
「っん、‥んん―っ！」
深い口付けに夢中になっている合間にも、
じわじわと腰を進められて、唇からはくぐもった甘い吐息が漏れる。
「……っん、あ‥！」
「…君の、中‥すごく‥熱い…っ‥」
唇を解放されて囁かれると、右の足を抱えられ、さらに奥の方まで、繋がりが深くなる。
「あぁ…っ！」
不意に身体がびくんと跳ね、互いの間にある蜜に濡れた先端が弾む。
それまでとは明らかに違う言葉にならない刺激が広がり、ぐっと窄まったそこが彼を締めつける。
「そ…そこは‥ぁっ、だ、め……っ！」
「何が‥駄目、なんですか…？」
「…っ、た、頼むから、やめ…、…っああ‥！」
必死に訴える声の中にも、快感の色が混ざる。
彼もそれがわかっているのだろう。
構わず、何度も強く押し当てられる下肢の熱さに、抱えられた足が揺れて痺れて。
震える艶やかな唇から紡ぎ出される声は、掠れて小刻みになる。
「あ……や‥んん…っ」
「……景時、僕の名を、呼んで下さ、い‥愛していると‥言っ、て……。」
同じように小刻みになる彼の必死な懇願に胸の奥が熱くなり、快楽が全身に染み渡る。
ひとりでに溢れる涙を、そっと唇で拭われ、揺れる黄金色の瞳をじっと見上げた。
「‥弁慶、好き…っ！愛してる、だか、ら‥
オレから、離れない、で…離さないで‥っ」
「………景時‥」
この先、
どんなことがあっても‥
ああどうか、
君の心だけは。
「……大丈夫です。 今の君なら、わかるでしょう？
君と僕が一緒なら、何があってもきっと、大丈夫。
それとも君は、この僕が…信じられませんか？」
「……べ、弁…慶…」
濡れた瞳で見上げると、
本当の君はこんなにも…泣き虫なんですね？
揶揄うようにそう囁かれ、苦笑する。
それでも次々溢れる涙を止める術はなくて、抱きしめてくる彼のぬくもりに、ただ心を預けた。
「ん……ああ‥っ」
腰の動きを再開され、律動するたび彼を受け入れている場所が熟れ、酔ってしまいそうな程の快楽を生む。
どくどくと下肢には熱が集まり、体内の彼も質量を増してきた。
もっと欲しい。
もっと感じたい。
「…ぃ、ああ…っ！」
「景時………っ」
一際、強く突き上げられた瞬間、急激に意識が白い場所へ放り投げられ、ぱっと何かが弾ける。
続く強烈な快感に身体中が震えて、悲鳴を上げる。
「あ、あああ……っ」
続けて体内で放出される彼の熱に身体がじわりと疼き、足の先まで甘い痺れが届く。
「…は……ああ‥」
脱力してくる彼の頭が、己の肩に預けられる。
抱えられた右足の内股が小刻みに痙攣し、身体が急激に弛緩して。
後にはじわじわとした充足感だけが、ただ、全身に満ちていた…
「……はぁ‥。 思った以上に、よかったですよ……景時。」
「‥――っ！」
不意に耳元で満足気に囁かれ、みるみる顔に熱が集まっていく。
「なっ、なに言ってるの‥!? 弁慶！
‥って言うか…はっ、早く…その‥っ、……抜いてくれる？」
欲望を解放したというのに、一向に萎えてはくれない彼に驚き、
慌てて胸を押し返せば、名を呼ばれ、甘えるように口付けられて。
「……ん、景時‥。 愛していますよ…」
「‥べっ、弁慶‥？」
「だから……
………もう一度。」
「…ッ、えぇぇっっ!!? ちょっ…ちょっとぉ!!
い、いやだよ……もう、はいらな……っあ！」
信じられない彼の言葉に目を見開いて驚き、決死の抵抗を試みるが、
再開された腰の動きに握り込まれたモノは正直に反応してしまい。
「…君の身体がよすぎるから…いけないんですよ。」
「ちょっ、…そ…んな、やだ、また…こんなとこ、でっ！ん、も…弁慶の、変態…っ!!」
「ふふ…っ、ええ。 ……なんとでも。」
涼しい顔をしてにっこり微笑む彼に、
自分は、もしかしたら一生敵わないのかもしれないな。
などと、考える間もなく自分によく似て…
それでも、少し違った甘い心に支配されていく…
互いの心が一つならば。
オレ達は、互いに分かち合い、支え合って
生きていこう。
君ならば信じられる。
命だって預けられる
とても大切な存在だ。
君がオレのことを愛するとき、
オレは少しだけ自分のことを好きになれる。
そして……
彼にとってのオレも、
そんな存在であればいいと願う。
同じ太陽に寄り添う、
二つの月。
写し鏡のようなオレ達が…
惹かれ合うのは宿命か。
いや…
きっと初めて君に出会ったあの時から、
オレは、君に…
熱い“恋”を、していたのかもしれない。
-fin-
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
友人が弁慶スキーなので・・比較的、弁慶さん絡みが多くなるやも・・・？；
弁慶さんと景時さんって・・・なんかどこか似てるよねってハナシ。
笑顔の種類が違うだけなんだよね・・・・多分。 (ﾟωﾟ)(｡_｡)ｳﾝｳﾝ←
・・・え？？ だったらなんでわざわざ裏にしたかって？？（Σ爆；；）
だって・・・・天下の弁慶さんだよ！！？（←なんじゃそりゃ；；）
相変わらずの駄文な上に、いちいち分けちゃってすみません；
す、少しでも読みやすくはなるかな・・・と・・・・；；（無理。←）