氷を破り顔を出す花の芽の・・強さと・・美しさ・・。
            


・・私も・・・あの花の芽のように・・・・・


              
              

          
「春」

 



 

「永泉さん! おはようございます。」

 「・・神子・・おはようございます。」

桃色の髪をサラサラと揺らし、笑顔で少女が頭を下げると
同じく笑顔で挨拶を返した青年・・。

龍神の神子であると、その八葉のひとりである永泉は
四方の札を探すため内裏を訪れていたのだった。

「永泉さん、内裏ってすごーく広いところですよね。」

「そうですね。 神子。」

「・・前に来た時なんか・・迷っちゃって大変だったなぁ・・。」

「・・大丈夫ですよ神子。今回は私もついていますから・・。」

「それはたのもしいです! 永泉さん、今日はよろしくお願いします!」

「ええ・・私などで神子の力になれるかは分かりませんが・・・精一杯頑張りますね。」

笑顔で会話を進める二人はとても仲が良いようで
会話がとぎれることがない様子。

・・と、そこへ一人の男が二人に近寄ってきた。
顔を扇で隠しながら神子の方へ足を進めるとそっと、耳元で囁く・・。

「・・ずいぶんと楽しそうだね・・神子殿・・?」

驚いて振り返ったの手に静かに口付けて、その男は笑顔を浮かべた・・。




 「とっ・・友雅さん!!」

「やぁ、神子殿。 今日は永泉様と一緒なのかい・・?」

「・・まっ・・また友雅さんはぁっ!!////」


先ほどの口づけに真っ赤になって怒るを軽くかわして
永泉の方へ向き直ると、友雅は静かに頭を下げた。

「・・おはようございます・・永泉様・・。
・・四方の札を探しに来たのですね・・? ご苦労様です・・。」

「・・これは・・・友雅殿・・。 そっ・・そのようにかしこまらなくてもいいのですよ・・?
 ・・私は、出家した身なのですから・・・。 」

「・・いいえ、これでも帝に仕える身なのでね・・?・・そのようなことは許されないのですよ。
・・・ところで、永泉様・・・・・」



難しい話が続いているようで退屈だったは、内裏の中を見渡して・・
綺麗な花を見つけ、じっと見つめていた・・・。

「なんて言う花だろう・・? とてもいい香りのする花だなぁ・・。」

















******************




「・・・・っということです。」

「なるほど・・それでは、亡くなった方が夢枕に立たれて・・お札の場所を教えて下さるのですか?」

「ええ、そのようですね・・。  ・・・永泉様。」

「はい、どうしました・・?」

「・・いえ・・ね・・? 先ほどはすみませんでした・・。」

「・・・??」

いまいち謝られる意味が分からなくて永泉が首を傾げると
友雅はクスクスと笑って永泉を見た。

「・・いや、私がお邪魔をしてしまったのでは・・と思いましてね・・?」

「・・お邪魔・・とは・・??」

「・・永泉様は殿と・・仲睦まじく話していたでしょう・・?
 それを、私が邪魔してしまったようなので・・。」

友雅の謝罪の意味をやっと理解した永泉は
真っ赤になりながら勢いよく手を振って否定しはじめた。

「・・っ!?//// そっそんなことは!!//// 私はただ神子と・・お札の話をっ////」

「そうですか・・? ・・私には二人がとても仲睦まじく見えましたよ・・?」

「とっ友雅殿っ!//// からかうのはどうかっ・・・・/////」




『生きることをあきらめている・・・。』っと己の主は言っていた。
・・永泉様は・・出家された今もなお・・・。

・・それがいつからか・・普通の青年のような顔をするようになった・・。
・・そう・・永泉様は・・神子殿と会われて・・ずいぶんと変わったのだ・・。


「・・ふふっ・・でも永泉様・・? 気持ち・・っというものは・・
 黙っていて伝わるものではないのですよ・・??」

「・・・友雅殿・・。」

笑顔で永泉を見ると、友雅は続けた。

「・・そうですね・・・ホラ。 今、神子殿が見ている花のように・・。
 氷を破り、顔を出す・・強さを・・持って下さい・・。」

「・・・強・・さ・・。」

「ええ、・・自分の心に素直になってみることも、時には必要かと・・・。」

「・・自分の心に・・素直に・・・?」

そこまで言ってから、友雅は扇をパチンっと閉じると
いつものように軽い口調でこう付け加えた。

「まぁ、私も人のことはいえないのですが・・ね・・?
 ふだん説教される方なのは・・私ですし・・??」

「ふふふっ・・・・友雅殿・・。」

「・・・・はい・・?」

「・・・・ありがとうございます。」

「・・・いえいえ・・それでは、私は仕事に戻りますので。」

・・頑張って下さいませ。っと付け加えて礼をすると、友雅は内裏の奥へと消えていった。


「・・自分の心に・・素直に・・・」

もう一度、心の中で自分に言いきかせて・・
永泉は神子の方へと歩みを進めた・・。





「・・神子・・・。」

「あっ!・・お話終わったんですね・・? 永泉さん・・!」


花を持ってこちらに微笑みを向ける神子は・・

とても・・輝いていて・・・・・


「ええ、お待たせしてしまい・・すみません。」

「いえいえ!全然いいですよ?」

「・・・そうですか。」

・・自然と笑みがこぼれた・・・・。


「・・永泉さん・・? 今日は、なんだか楽しそうですね・・??」

「えっ・・??」

その言葉に・・驚いたような顔で神子を見つめれば、神子も楽しそうに笑っていた。


「・・楽しそうな永泉さんを見ていると、私もとても楽しいです!!」

「・・・神子・・・。」



まばゆいばかりの笑顔は・・・その手に持つ、花にもまけないくらい可憐で・・美しくて・・
 
    



          ・・・私は・・・・・・・





「・・・神子・・私は・・・・。」

「・・・えっ・・・? どうしたんですか・・? 永泉さん・・。」









「・・・いえ、・・神子が・・・とても綺麗な人だと思いまして・・。」



自分の心に素直に・・正直な気持ちで・・神子に向き合う・・・。


・・そう、・・私は・・氷を破る強さを持ちたい・・・・。


・・・春の初めの花の・・・ように・・・。


「えっ・・///// なっ何を言っているんですか永泉さん!!/////」

「・・思ったことを、言っただけなのですよ・・? 神子・・・。」

「・・・っ・・・//////」


・・精一杯の笑顔で・・素直な気持ちを伝えたい・・・。

・・私の・・心を・・救ってくれた・・優しい少女へ・・・・。



もしも・・アナタに想いを告げることが・・許されるのなら・・・・


     
      ・・私は・・・



・・・・神子・・・・・私はアナタを・・・・・・
               

          ・・・・・お慕いしております・・。







 氷を破り顔を出す花の芽の・・強さと・・美しさ・・。
            
      ・・私も・・・あの花の芽のように・・・・・。


    

            ・・・・・私は・・・あの花の芽のように・・・。



                                    END

☆オマケ(笑)☆

帝「とっ友雅・・永泉の様子はどうだった・・??(ドキドキ!;)」

友雅「・・主上・・気になるなら私にではなく、本人に問えばよいでしょう・・。」

帝「そっそのようなこと出来るわけがないだろう・・??;(汗)
  ・・ああっ!; 永泉!! 私の可愛い弟よっっ!!!;;(叫!)」

友雅「・・・・はぁ・・;;(呆)」



******あとがき********

お友達に頼まれまして・・・書きました;;

初の永泉様ドリームです!!!;;(汗)

なんというか・・友雅さん出すぎててすみません;;;;(土下座)

・・・だってまぁ・・ホラ・・愛が偏りますよ・・普通・・・。(ぇえ!?;)


自分、地の白虎好きですからっっっ!!!!;;;(-o-;)

・・我が友よ!!! すまないっっ!!!!;;