【 執着の末に 】








「…つまらぬな…」







氷のような瞳。





時空を止めたように変わらぬその表情。



そのどれもが気に入らない。







奥州平定を終えればすべてが終わる。

すべてが上手くいっていた。



気分はとても良い筈なのに。







「……興ざめだ…下がれ。」



「……御意…」






組み敷いた奴にそう声をかければ、

表情も変えずに衣を纏い直して一礼する。









つまらぬ。







私の従順な玩具は本当の人形(オモチャ)と成り果てた。








動揺に揺れる瞳が



必死に許しを請う姿が



泣きながらも温もりを求めさ迷うその腕が




とても滑稽だった






生きているのか死んでいるのかわからぬこの男を



自分の手で動かし鎖をつけて囲うのは、気分がいい。







景時は私の犬で





私の………









「頼朝様……政子様の件、どのような処遇をも覚悟しております。」








私だけの………






「それから…奥州平定の件につきましても、すべては私の力不足により…」






なんだ この目は。



何故、こんなに真っ直ぐに私を見る?




お前はずっと、



そう、出会った時から…




何もない男だった。



生きているのか死んでいるのかさえわからぬような男だったのに。










「…報告は以上になります。頼朝様におかれましては……」





「…もうよい。沙汰は追って下す。」





「…は。」




変わらず真っ直ぐにこちらを見据える迷いない眼差しが憎らしくて、


本当に殺してしまおうかと思った。





憎らしい。





お前は主なしでは生きられぬ。




私なしでは…生きられぬ男だったのに。
















「あなた…」





「……政子…」




「…もう、やめてあげましょう?景時は充分働いたわ?」





「あやつは……」




「あの子は、大切な人を見つけたのよ?大切なものを、見つけたの。
私には…わかりますもの。だから、もう大丈夫…」







大切な人……?




人形のようなあやつに、そんな…






「あなたも、もう楽になっていいのよ。もう…あなたの役目は終わったわ。」






あやつは……景時は…









「景時は…主、私なしでは生きられぬ男だ…」




「………まぁ。…ふふ、もう…そんなことはないのだと、
あなたが1番よくお分かりの筈でしょう?」




「………」






「…だから、もうあの子を解放してあげましょう?」








解放してやる…?




あやつを……




景時を



私が、手放すのか…?










「政子……」




「……はい?」








「……本日より、景時には…解雇を申し渡す。それで……よいな?」




「えぇ…それで、いいのよ?」






「政子……」




「……それで、いいの…」










景時は私の犬で





景時は私だけの…










憎らしかった………?






いや…そうではない。






ならば、 虐めることが楽しかった………?










違う……    本当は違ったのだ…







ただ……手元にあるだけで



心地よくて




彼の全部を私は……









狂おしいほど



愛していたのに。













「政子……すまぬ…」




「……構いませんわ? 
私も、あの子がいなくなるというのは…
なんだかとても、寂しいですもの…」




「政子……私の傍にいよ…」



「…私はあなたの妻ですもの。
頼まれずとも…ずっとお傍におりますわ…?」




「ああ……」








政子の温もりにそっと



抱き寄せられて




夜闇に灯明の明かりが







揺れて   滲んで










私も 彼に…





ひどく、執着していたのだと知った。














                                 -了-












******************************

頼朝様・・・・・本当はもの凄く大好きです。(笑)

景時ファンだけど・・・頼朝様は嫌いになれない。

というか、景時ファンだからこそ・・・なのかな?

頼朝様は絶対に景時が大好きなのだと・・信じて疑えません。←

・・・・・今度は、幸せっぽい話も書いてあげたいな・・・(ぁ;

あああ、兄上(違;)・・頼朝様っっ!!(*´д`) 

わ、私を、梶原みたいにコキつかって下s・・(殴)


・・・・・・は〜い、いろいろと壊れてる子でごめんなさいねぇ〜・・・・・il||li _| ̄|○ il||l ←